悪性グリオーマと治療法
悪性グリオーマについては、やはりさらりと流す方が良いと思います。良性グリオーマについては、あまり参考にならないとは思いますが、2月4日の記事(誕生日)をご参照頂ければ幸いです(ちなみに今日は祖母と弟の誕生日です)。
彼女はグレードⅠだったんですが、グレードⅢ、Ⅳとなると、成長速度も早く脳内への浸潤性も強くなります。そして、グレードⅢに比べるとⅣの方がはるかに成長も早く、脳内へもより強く浸潤していきます。場合によっては反対側の大脳半球まで・・・。
「浸潤」というのは、染み込んでいくという意味です。腫瘍と正常脳との境界が明瞭でなく、MRIなどの画像で確認出来る腫瘍範囲を超えて正常脳細胞の隙間に腫瘍細胞が入り込んで行くので、腫瘍と正常脳細胞が渾然一体となった領域が存在するのです。つまり、腫瘍を全摘するためには正常脳もとらないといけなくなるのです。ですから前頭葉や側頭葉の先端部に出来、まだ腫瘍が小さい場合を除いて、腫瘍を全部切除することは非常に難しいのです。例えば他の臓器の悪性腫瘍であれば、腫瘍を見ずに周囲の組織ごとごっそり摘出することも可能ですが、脳の場合そんなことやっちゃうとトンでもない後遺症が出てしまいます。身体全体をコンロトールする中枢が脳にはぎっしり詰まっているので、出来るだけ後遺症を残さないようにしながら、腫瘍も出来るだけ沢山摘出するのは至難の業です。
腫瘍を周囲の脳組織ごとごっそり取ることが出来るのは、特に右大脳半球の前頭葉や側頭葉などほとんど働いていない部位に腫瘍が出来た場合に限られます。それもまだ腫瘍が小さいうちに発見された場合です。それでも正常脳まで腫瘍細胞が染み込んできている可能性は否定出来ませんので、術後の後療法として化学療法(抗癌剤の治療)や放射線治療を行います。この場合の放射線治療は、腫瘍細胞が染み込んでいるとおぼしき範囲をカバー出来るよう大きめに照射野をとり、一日2グレイ(グレイは放射線照射量の単位)くらいずつ少しずつ当てていきます。1回2グレイ、月曜日から金曜日まで週5回照射したとすると(土日はお休み)、1週間で10グレイになりますので、これを5週間行い、最後の1週間は更に照射野を絞って照射します。すると全部で60グレイになりますが、脳の耐容線量(照射可能な線量)が60グレイと考えられていますので、ここで照射は終了です。
放射線は遺伝子本体に傷を付けますから、その効果は1年経ったから消えるとか、5年経ったから消えるとか言うものではありません。原爆で被爆した方のお子さんやお孫さんが、遺伝的な健康被害の発生率が高いことから原爆二世とか原爆三世と呼ばれているコトを考えると、放射線の効果は世代を超えて、極端な話孫子の代までずっと残るのです。
何が言いたいかと言いますと、放射線治療で60グレイ照射した後には、腫瘍が再発したからと言って再治療は出来ません。一発勝負です。もちろん腫瘍細胞がどっさり残っている部分に放射線を当てるより、腫瘍細胞が少なければ少ないほど効きが良いわけですから、最初の手術で出来るだけ沢山腫瘍を摘出しなければならないのです。
彼女はグレードⅠだったんですが、グレードⅢ、Ⅳとなると、成長速度も早く脳内への浸潤性も強くなります。そして、グレードⅢに比べるとⅣの方がはるかに成長も早く、脳内へもより強く浸潤していきます。場合によっては反対側の大脳半球まで・・・。
「浸潤」というのは、染み込んでいくという意味です。腫瘍と正常脳との境界が明瞭でなく、MRIなどの画像で確認出来る腫瘍範囲を超えて正常脳細胞の隙間に腫瘍細胞が入り込んで行くので、腫瘍と正常脳細胞が渾然一体となった領域が存在するのです。つまり、腫瘍を全摘するためには正常脳もとらないといけなくなるのです。ですから前頭葉や側頭葉の先端部に出来、まだ腫瘍が小さい場合を除いて、腫瘍を全部切除することは非常に難しいのです。例えば他の臓器の悪性腫瘍であれば、腫瘍を見ずに周囲の組織ごとごっそり摘出することも可能ですが、脳の場合そんなことやっちゃうとトンでもない後遺症が出てしまいます。身体全体をコンロトールする中枢が脳にはぎっしり詰まっているので、出来るだけ後遺症を残さないようにしながら、腫瘍も出来るだけ沢山摘出するのは至難の業です。
腫瘍を周囲の脳組織ごとごっそり取ることが出来るのは、特に右大脳半球の前頭葉や側頭葉などほとんど働いていない部位に腫瘍が出来た場合に限られます。それもまだ腫瘍が小さいうちに発見された場合です。それでも正常脳まで腫瘍細胞が染み込んできている可能性は否定出来ませんので、術後の後療法として化学療法(抗癌剤の治療)や放射線治療を行います。この場合の放射線治療は、腫瘍細胞が染み込んでいるとおぼしき範囲をカバー出来るよう大きめに照射野をとり、一日2グレイ(グレイは放射線照射量の単位)くらいずつ少しずつ当てていきます。1回2グレイ、月曜日から金曜日まで週5回照射したとすると(土日はお休み)、1週間で10グレイになりますので、これを5週間行い、最後の1週間は更に照射野を絞って照射します。すると全部で60グレイになりますが、脳の耐容線量(照射可能な線量)が60グレイと考えられていますので、ここで照射は終了です。
放射線は遺伝子本体に傷を付けますから、その効果は1年経ったから消えるとか、5年経ったから消えるとか言うものではありません。原爆で被爆した方のお子さんやお孫さんが、遺伝的な健康被害の発生率が高いことから原爆二世とか原爆三世と呼ばれているコトを考えると、放射線の効果は世代を超えて、極端な話孫子の代までずっと残るのです。
何が言いたいかと言いますと、放射線治療で60グレイ照射した後には、腫瘍が再発したからと言って再治療は出来ません。一発勝負です。もちろん腫瘍細胞がどっさり残っている部分に放射線を当てるより、腫瘍細胞が少なければ少ないほど効きが良いわけですから、最初の手術で出来るだけ沢山腫瘍を摘出しなければならないのです。