坐骨神経痛とは?画像検査でわからない「梨状筋症候群」についても解説
坐骨神経痛は、腰からお尻、脚にかけて広がる痛みやしびれを特徴とする症状です。腰痛とともに感じることが多く、「腰が痛くて足にもしびれが…」といった症状を訴える方は少なくありません。しかし、坐骨神経痛は一つの病名ではなく、さまざまな原因によって生じる症状です。そのため、正しい原因の特定が必要ですが、画像検査だけでは見つけられない原因もあることに注意が必要です。
この記事では、坐骨神経痛の原因と特に診断が難しい「梨状筋症候群」について詳しく解説します。

坐骨神経痛のメカニズムと症状
坐骨神経痛は、腰椎から出てお尻を通り、太もも、ふくらはぎ、足まで続く「坐骨神経」が圧迫・刺激を受けることで起こる痛みやしびれを指します。坐骨神経が原因であるため、腰だけでなくお尻や足にまで痛みやしびれが広がるのが特徴です。典型的な症状には以下のようなものがあります:
腰やお尻の痛み:腰痛とともにお尻や太ももに痛みを感じることが多いです。
足にかけてのしびれや痛み:坐骨神経の走行に沿って痛みが出るため、腰から足先にかけての痛みやしびれが現れます。
歩行困難:痛みやしびれが強いと、長時間の歩行が難しくなることもあります。

坐骨神経痛の主な原因
坐骨神経痛の原因はさまざまですが、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、梨状筋症候群が代表的です。では、これらの原因を詳しく見ていきましょう。
1. 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管という神経が通るスペースが狭くなり、神経が圧迫されることで起こります。主に中高年に多く見られ、歩行や立ち止まるときに痛みやしびれが出る「間欠性跛行」が特徴です。この病気は腰部MRIやレントゲンで確認できるため、正確な診断が可能です。
2. 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、椎間板が突出し、神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こす疾患です。特に20~40代の比較的若い世代に多く見られます。腰椎椎間板ヘルニアもMRIやレントゲン検査で容易に確認でき、痛みの原因として診断が比較的容易です。
3. 梨状筋症候群
梨状筋症候群は、坐骨神経痛の原因としてはやや特殊なケースです。お尻にある梨状筋という筋肉が坐骨神経を圧迫することで発生します。梨状筋は、お尻の深層にある筋肉で、股関節の外旋運動(足を外側に回す動き)に関与しています。梨状筋が何らかの原因で硬くなったり、筋肉の緊張が強まると、その下を通る坐骨神経が圧迫され、痛みやしびれが発生します。
梨状筋症候群は、腰椎や脊柱管に問題があるわけではないため、MRIやレントゲン検査には映らないことが多いのが特徴です。このため、「腰のMRIやレントゲンで異常なし」と診断されたものの坐骨神経痛が続く場合には、この梨状筋症候群を疑う必要があります。

梨状筋症候群が画像診断で確認できない理由
梨状筋症候群が画像検査で発見されにくいのは、梨状筋が神経を圧迫する位置が腰椎から離れているためです。梨状筋は骨盤の奥にあるため、腰椎のMRIやレントゲンでは正確に映らず、腰の骨や脊柱管に異常がなくても、梨状筋が原因で坐骨神経痛が生じる場合があるのです。
また、梨状筋の緊張や炎症が坐骨神経を圧迫することが原因であるため、筋肉の緊張状態や炎症そのものは通常のMRIやレントゲンで把握することができません。そのため、「画像診断で問題がないから大丈夫」と安易に判断するのではなく、梨状筋の影響を考慮した診察が重要になります。

梨状筋症候群の診断方法
梨状筋症候群の診断は、腰のMRIやレントゲンには依存せず、圧痛や徒手検査が重視されます。梨状筋症候群の診断には次の方法が有効です:
圧痛の確認:お尻の梨状筋に圧痛があるかを確認します。坐骨神経の圧迫部位に痛みがある場合は、梨状筋症候群が疑われます。
梨状筋ストレッチテスト:梨状筋を伸ばすストレッチを行うと痛みが強くなるかどうかを確認します。
超音波検査:超音波を用いて梨状筋の状態を観察することもあります。MRIで確認できない場合、超音波検査が梨状筋の状態をチェックするために有効です。
これらの方法によって梨状筋症候群の診断が行われ、治療方針が決まります。

坐骨神経痛の治療法
坐骨神経痛の治療は、原因に応じたアプローチが必要です。特に梨状筋症候群の場合は、他の腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアとは異なる治療が効果的です。
1. 薬物療法
痛みを和らげるために鎮痛薬や抗炎症薬が処方されることが多いです。梨状筋症候群の場合、筋肉の緊張を緩和する筋弛緩薬が有効な場合もあります。
2. 理学療法・リハビリ
梨状筋症候群では、梨状筋の緊張をほぐすためのストレッチやリハビリが重要です。お尻や股関節周りのストレッチ、姿勢改善のためのトレーニングが効果的で、専門の理学療法士による指導が推奨されます。
3. 神経ブロック注射
神経ブロック注射は、痛みの原因部位に局所麻酔薬や抗炎症薬を注射し、痛みを和らげる方法です。梨状筋症候群の場合も有効で、痛みが軽減され、リハビリが行いやすくなります。
4. 手術療法
腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアが原因で坐骨神経痛が重度の場合、手術が選択されることもあります。ただし、梨状筋症候群は非侵襲的な治療法が優先されるため、まずは保存的な治療が行われます。

日常生活でのセルフケア
坐骨神経痛の改善には、日常生活でのセルフケアも効果的です。梨状筋症候群の場合は、長時間の座位を避け、体を適度に動かすことが重要です。また、腰やお尻を温めることで血行が改善し、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。
セルフケアとして行えるストレッチや運動には以下のようなものがあります:
お尻のストレッチ:椅子に座り、片方の足首を反対側の膝に乗せ、お尻の筋肉が伸びるように体を前に倒します。
股関節の外旋運動:立ったまま足を外側に広げ、股関節周りをほぐします。

まとめ:坐骨神経痛の原因は画像検査だけではわからないことも
坐骨神経痛は、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアだけでなく、梨状筋症候群など腰以外の原因でも起こり得ます。特に梨状筋症候群は、腰のMRIやレントゲン検査には映らないため、「画像診断で異常がないから大丈夫」とは限りません。長引く痛みやしびれがある場合には、梨状筋症候群の可能性も含め、専門医に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。
この記事では、坐骨神経痛の原因と特に診断が難しい「梨状筋症候群」について詳しく解説します。

坐骨神経痛のメカニズムと症状
坐骨神経痛は、腰椎から出てお尻を通り、太もも、ふくらはぎ、足まで続く「坐骨神経」が圧迫・刺激を受けることで起こる痛みやしびれを指します。坐骨神経が原因であるため、腰だけでなくお尻や足にまで痛みやしびれが広がるのが特徴です。典型的な症状には以下のようなものがあります:
腰やお尻の痛み:腰痛とともにお尻や太ももに痛みを感じることが多いです。
足にかけてのしびれや痛み:坐骨神経の走行に沿って痛みが出るため、腰から足先にかけての痛みやしびれが現れます。
歩行困難:痛みやしびれが強いと、長時間の歩行が難しくなることもあります。

坐骨神経痛の主な原因
坐骨神経痛の原因はさまざまですが、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、梨状筋症候群が代表的です。では、これらの原因を詳しく見ていきましょう。
1. 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管という神経が通るスペースが狭くなり、神経が圧迫されることで起こります。主に中高年に多く見られ、歩行や立ち止まるときに痛みやしびれが出る「間欠性跛行」が特徴です。この病気は腰部MRIやレントゲンで確認できるため、正確な診断が可能です。
2. 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、椎間板が突出し、神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こす疾患です。特に20~40代の比較的若い世代に多く見られます。腰椎椎間板ヘルニアもMRIやレントゲン検査で容易に確認でき、痛みの原因として診断が比較的容易です。
3. 梨状筋症候群
梨状筋症候群は、坐骨神経痛の原因としてはやや特殊なケースです。お尻にある梨状筋という筋肉が坐骨神経を圧迫することで発生します。梨状筋は、お尻の深層にある筋肉で、股関節の外旋運動(足を外側に回す動き)に関与しています。梨状筋が何らかの原因で硬くなったり、筋肉の緊張が強まると、その下を通る坐骨神経が圧迫され、痛みやしびれが発生します。
梨状筋症候群は、腰椎や脊柱管に問題があるわけではないため、MRIやレントゲン検査には映らないことが多いのが特徴です。このため、「腰のMRIやレントゲンで異常なし」と診断されたものの坐骨神経痛が続く場合には、この梨状筋症候群を疑う必要があります。

梨状筋症候群が画像診断で確認できない理由
梨状筋症候群が画像検査で発見されにくいのは、梨状筋が神経を圧迫する位置が腰椎から離れているためです。梨状筋は骨盤の奥にあるため、腰椎のMRIやレントゲンでは正確に映らず、腰の骨や脊柱管に異常がなくても、梨状筋が原因で坐骨神経痛が生じる場合があるのです。
また、梨状筋の緊張や炎症が坐骨神経を圧迫することが原因であるため、筋肉の緊張状態や炎症そのものは通常のMRIやレントゲンで把握することができません。そのため、「画像診断で問題がないから大丈夫」と安易に判断するのではなく、梨状筋の影響を考慮した診察が重要になります。

梨状筋症候群の診断方法
梨状筋症候群の診断は、腰のMRIやレントゲンには依存せず、圧痛や徒手検査が重視されます。梨状筋症候群の診断には次の方法が有効です:
圧痛の確認:お尻の梨状筋に圧痛があるかを確認します。坐骨神経の圧迫部位に痛みがある場合は、梨状筋症候群が疑われます。
梨状筋ストレッチテスト:梨状筋を伸ばすストレッチを行うと痛みが強くなるかどうかを確認します。
超音波検査:超音波を用いて梨状筋の状態を観察することもあります。MRIで確認できない場合、超音波検査が梨状筋の状態をチェックするために有効です。
これらの方法によって梨状筋症候群の診断が行われ、治療方針が決まります。

坐骨神経痛の治療法
坐骨神経痛の治療は、原因に応じたアプローチが必要です。特に梨状筋症候群の場合は、他の腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアとは異なる治療が効果的です。
1. 薬物療法
痛みを和らげるために鎮痛薬や抗炎症薬が処方されることが多いです。梨状筋症候群の場合、筋肉の緊張を緩和する筋弛緩薬が有効な場合もあります。
2. 理学療法・リハビリ
梨状筋症候群では、梨状筋の緊張をほぐすためのストレッチやリハビリが重要です。お尻や股関節周りのストレッチ、姿勢改善のためのトレーニングが効果的で、専門の理学療法士による指導が推奨されます。
3. 神経ブロック注射
神経ブロック注射は、痛みの原因部位に局所麻酔薬や抗炎症薬を注射し、痛みを和らげる方法です。梨状筋症候群の場合も有効で、痛みが軽減され、リハビリが行いやすくなります。
4. 手術療法
腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアが原因で坐骨神経痛が重度の場合、手術が選択されることもあります。ただし、梨状筋症候群は非侵襲的な治療法が優先されるため、まずは保存的な治療が行われます。

日常生活でのセルフケア
坐骨神経痛の改善には、日常生活でのセルフケアも効果的です。梨状筋症候群の場合は、長時間の座位を避け、体を適度に動かすことが重要です。また、腰やお尻を温めることで血行が改善し、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。
セルフケアとして行えるストレッチや運動には以下のようなものがあります:
お尻のストレッチ:椅子に座り、片方の足首を反対側の膝に乗せ、お尻の筋肉が伸びるように体を前に倒します。
股関節の外旋運動:立ったまま足を外側に広げ、股関節周りをほぐします。

まとめ:坐骨神経痛の原因は画像検査だけではわからないことも
坐骨神経痛は、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアだけでなく、梨状筋症候群など腰以外の原因でも起こり得ます。特に梨状筋症候群は、腰のMRIやレントゲン検査には映らないため、「画像診断で異常がないから大丈夫」とは限りません。長引く痛みやしびれがある場合には、梨状筋症候群の可能性も含め、専門医に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。