Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

聴神経鞘腫の治療の選択肢(1)

昨日は中途半端なところで終わってしまいましたが、聴神経鞘腫の治療方針として3つの選択肢が考えられます。もっとあるかもしれませんが、とりあえず3つくらいはあるかと思います。

まず手術療法。開頭して腫瘍を摘出するわけですが、全身麻酔が必要ですし神経の損傷のリスクも少なからず、いやかなり高頻度に起こり得ます。勿論腫瘍の大きさにもよりますが、聴力の温存率は3割程度でしょうか。顔面神経麻痺の出現頻度はもっと高いと思いますが、術者の技量にも負うところが大きいので、一概には言えません。

もし手術を受けようと思う場合は、手術を担当されるドクターに「何例くらい聴神経鞘腫の手術の経験があって、どれくらいうまくいっているのか?」と質問すると良いと思います。具体的には、平均的な摘出率はどの程度で、聴力の温存率は何%か、顔面神経麻痺の出現頻度は何%か、その他の合併症はどれくらいの頻度で起きているか?と言うような点を聞けば、手術をまかせられるのかどうかの判断はつくと思います。

えぇ〜っ、そんなこと聞くと医者が気を悪くしたりしませんか〜???と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが(実際外来で説明していると、こういう反応がほとんどです)、それで気を悪くするような医者に自分の大切な脳の手術を任せるべきではないと、個人的には考えています。

そもそも自分の手術成績について話が出来ないと言うコトは、よっぽどの下手くそ(失礼)か手術やりっ放しで一つ一つの手術における問題点や反省点をレビューしていないかのどちらかだと思います。自分の技術を向上させようと日々研鑽を積んでいる医者なら、この程度の質問にはスラスラ答えるでしょうし、患者さんが質問する前に自分から先に話してしまっているかもしれません。

あんまりいろいろ言うと叱られそうなのでやめますが、私の場合医者になってから脳外科医の本道からドロップアウトするまでの10年間で3回聴神経鞘腫の手術に入りましたが(オペレータではありませんが)、3回とも顔面神経麻痺が残ってしまいました。

聴力が低下しても外見上は分かりませんが、顔面神経麻痺になっちゃうと誰が見ても分かりますので大変です。手術療法を選択する場合は、術者の技量は充分分かっておいてからお任せするようにしましょうね!




vol.24
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