Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

膜性骨化

人間の骨格は、昆虫類と違って身体の内部に内蔵されています。

肋骨や手足の骨である大腿骨、腓骨・脛骨、上腕骨、橈骨・尺骨など細長い骨ばかりでなく、骨盤を形成する腸骨や肩甲骨の様な平たい骨もあるのですが、人間の骨の大部分は「軟骨内骨化」と言う様式で骨形成が行われます。最初軟骨として骨格の基本構造が作られ、それが徐々に骨基質に置き換えられていくことで骨が出来上がっていきます。

軟骨として形成された骨の中軸から両端に向けて化骨が進む訳なんですが、特に大腿骨や上腕骨などの長管骨の断端部には「骨端板」と呼ばれる活発に細胞増殖している板状の軟骨成分があり、骨幹と骨端とを隔てています。逆に言うと、長管骨には中央部の骨幹と両端の骨端部の3か所に骨化中心があり、その間を隔てているのが骨端板と言うコトになるのですが、この骨端板が骨幹の長軸方向に新しい骨組織を付加していくので骨の長さが伸びて成長が進むのです。

昆虫などの外骨格は、軟骨を作らずに直接骨を作る「膜性骨化」と言う様式を取っています。しかし、動物の進化と共に膜性骨化による骨格構築の様式(つまり外骨格)は廃れていき、それに取って代わったのが軟骨内骨化なのです。

なぜ外骨格が廃れていったのかについてはよく分かりませんが、一つには身体を動かす場合筋肉の付着部が関節から遠ければ遠いほど効率がよく、より機動性の高い運動が出来るためではないかと思われます。

と言うコトで、人間の身体の骨はほとんどが軟骨内骨化によって形成されて行きますが、軟骨を形成せず直接骨膜から骨組織が形成される膜性骨化で作られる骨も一部残されました。それが頭蓋骨と一部の顔面骨なのです。




vol.24
患者さんについて求めること

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この記事へのコメント
進化の道筋をたどると、外骨格を得たグループと、
我々のように内骨格を選択したグループと、
大きく道が二つに分かれたのであって、
どちらが時系列的に進化した形というわけではなく、
つまりは外骨格が廃れて内骨格になったということではないと思います。

人間の先祖は外骨格を選択しなかった、ってことなのでしょう。
外骨格の弱点は、文字通り「一度殻をかぶったらなかなかそこから抜け出せない」こと。
手段としては「脱皮」があるんですが、脱皮直後は身を守る手段がない。

内骨格では(骨端線が閉じなければ)体格を大きくし続けることが可能です。

昆虫は「人間とは違うグループ」の、究極の進化型。
その下には軟体動物(貝やイカ・タコ)
さらにその下には環形動物、線形動物・・・というピラミッドです。
昆虫が進化しても哺乳類にはならない。

一方、脊椎動物の下には原索動物、
さらにその下には棘皮動物などとなり、
昆虫方向への進化と別れたのは、カイメン動物レベル・・・

というのが「ヘッケルの進化論」です。

ものすごーーーくマニアックな話なんですけどね。
Posted by たらお at 2010年06月22日 15:15
たらおさん、コメントありがとうございます。

昆虫はある意味究極の完成型だと思います。今回は膜性骨化をネタに、進化について考えておりまして、このシリーズは土曜日まで続きます。どうぞお楽しみに!

また、マニアックなご意見など頂けると嬉しいです。
どうぞ宜しくお願いします!
Posted by samurasamura at 2010年06月22日 21:44
 
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