Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

バックアッパー

動物の味覚がどうなっているのかよく分かりませんが、猿が蝉などの小動物を捕まえたり、ネコがトカゲなどを捕まえて食べているのを見ると、たいしたことないんじゃないかと思うのですが如何でしょうか?これを踏まえてと言うわけではありませんが、生きるために食べるのなら味覚は鈍化させた方が良いと書きました。しかし実際の臨床では、これもまた逆の現象が生じます。

味覚障害が発生しますと、食事摂取量は必ずと言っていいほど減少します。体重は減り活力も失われます。一家の台所を担う主婦に味覚鈍麻が起こった場合、味付けが濃くなり家族からブーイングを浴び、気持ちまで沈んで抑うつ的になってしまいます。

味覚障害から食事摂取量が低下することを考えても、味覚は人間が生きていく上で大変重要な感覚だと言わざるを得ません。それが証拠に味覚を司る神経には、バックアッパーが存在するのですから・・・。

人間の脳には12対の脳神経が存在しますが、例えば嗅覚を司る神経は嗅神経オンリーで、嗅神経が損傷してしまうと嗅覚は失われます。視覚を司るのは視神経ですが、視神経が切れてしまえば勿論視覚は失われます。聴覚にしたって、聴神経がいかれてしまえば音を聞くことは出来なくなってしまいます。ところが味覚に関しては、顔面神経、舌咽神経、迷走神経の3つの神経が関与しています。舌の前2/3の味覚は顔面神経支配ですが、もし両側顔面神経の障害で舌の前2/3の味覚が無くなったとしても、舌の後1/3には舌咽神経の味覚線維が分布していますし、ノドの更に奥の方には迷走神経の味覚線維も来ていますから、味覚が失われることはありません。

食べ物を口に入れた当初は顔面神経で味わい、嚥下する際は舌咽神経のお世話になり、げろ吐きそうになって吐物がせり上がってきた時に苦く感じたりするのは、迷走神経がお仕事してるって事になるでしょうか。

と言うコトで、脳神経障害で完全な無味覚症を来すことはほとんどありません。それだけ大切な感覚だって事なんでしょうね!





vol.24
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