Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

脳血管撮影

脳へ行く血管は、4本あります。左右の頸動脈と椎骨動脈と言う血管です。

椎骨動脈は、背骨(椎体骨)に沿って上行しますので、直接拍動を触れることは出来ませんが、頸動脈は拍動を触れることが出来ます。

顔を右に向けると、左の頚部にピ〜ンと突っ張る筋肉が出てきます。これを胸鎖乳突筋と言うのですが、顔を正面に戻して胸鎖乳突筋の緊張を和らげ、その前縁に指を押し当てますとトックントックン拍動が触れます。これが頸動脈です。頚動脈は、総頚動脈から顔へ行く外頚動脈と脳へ行く内頚動脈へ分岐します。

脳血管を調べる検査で、一番詳しく、細部まで見ることが出来る検査は、脳血管撮影と言う検査です。足の付け根の大腿動脈から細いカテーテルを挿入し、まず右の頸動脈までカテーテルを進めます。ここで造影剤というレントゲンに写る薬を注入しながら連続で写真を撮ると、血管内を流れる造影剤が頚部から徐々に脳内まで流れていく様子を撮影することが出来ます。右頸動脈の撮影が終わると、一旦大動脈までカテーテルを引き戻し次は左頸動脈へカテーテルを挿入し、左頸動脈を撮影します。最後に左または右の椎骨動脈へカテーテルを挿入し、椎骨動脈撮影を行います。椎骨動脈は、頭蓋内で左右が一本に合流し脳底動脈という血管になるので、左右どちらにカテーテルを挿入しても結果はほとんど同じですので、どちらか1本を検査するわけです。

左右の頸動脈と、片側の椎骨動脈を検査することで、脳内の血管はほとんど見ることが出来ます。

脳血管撮影では、脳血管の内腔を流れる造影剤を撮影しますので、血管内腔の形状をそのまま把握することが出来ます。動脈硬化で血管がデコボコしているとか、一部狭窄があるとか、逆に膨らんで動脈瘤になっているとか、非常に正確な診断が可能です。

ただし、血管に太い針を刺し、血管の中に頸動脈までカテーテルを進めていきますから、途中血管を傷つけたりする可能性がありますので、動脈硬化の進行したご高齢の方には不向きな検査です。造影剤を注入する際にも、小さな空気の泡が混入してしまうと、それが脳血管に詰まって脳梗塞を起こしてしまいます。針を刺した血管の止血に数時間を要するので入院が必要になりますし、結構負担の大きな検査です。

最近は肘の動脈からカテーテルを挿入できるので、負担はかなり軽くなりました。昔は直接頸動脈をぶっ刺して検査しておりましたので、それを考えると身体に加わるストレスや合併症のリスクは格段に少なくなっておりますが、やっぱり出来るだけやりたくない検査ですよね。




vol.24
患者さんについて求めること

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この記事へのコメント
「出来るだけやりたくない検査」ですよねぇ~

素人にだって分かりますですよ!

ナノに某ビョーインのセンセは「リスクは無い!」と

言い放ち、私を震撼させました、、、。

で、ビョーイン変えました、というか戻りました、、、、。

カテーテルはまあ良いとしても

あの、尿道チューブはどうにかならないものでしょうか。

あれが無ければ結構快適治療の気もします、、、、。

また、案外「冠動脈インターベンション治療」中、

操作技師のタバコ臭いのが気になり、イヤでした、、、、。


             カワウソ
Posted by ネコとウソネコとウソ at 2010年02月05日 22:57
カワウソさん、コメントありがとうございます。

私も10年以上前異型狭心症の疑いありと言うコトで、心臓カテーテル検査を勧められました。

「心カテやって何が分かるんだ?」と聞きましたら、冠動脈にれん縮(スパスム)を起こさせる薬剤を注入して、血管が収縮するかどうかを見るのだとか・・・。

そんなん危ないじゃんと思って、「もし冠動脈がスパスムを起こしたらどうするンだ?」と聞きますと、「やっぱりね!」と言うお返事で・・・。

「そんなことのために心カテなんて危険な検査は出来ません」とお断りしました。同期のヤツだったので、半分は冗談だったと思いますが、心カテにしろ脳血管撮影にしろ痛くてきつい検査には違いありません。
Posted by samurasamura at 2010年02月06日 19:02
 
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