Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

アルツハイマー病の告知について

もう一つ困るパターンってのが、認知症など診断自体が非常に難しい疾患の場合です。

例えばアルツハイマー病の場合、高齢者では脳血管性認知症と見極めるのが非常に難しいですし、物忘れだけが目立つようなごく初期の場合本当にアルツハイマー病なのかどうか正確に見極める診断法自体が存在しませんので、もしかしたら経過をみていけば認知症では無かったってことだってあり得るのではないかと思います。

また、アルツハイマー病の場合ドネペジル(商品名アリセプト)というお薬が保険適応を取っておりますが、これはアルツハイマー病の進行を遅らせる薬で、アルツハイマー病を治す薬ではありません。他のタイプの認知症には効果はあまり期待できませんが、脳梗塞と脳出血の場合のように治療法が全く逆!ってコトではありませんし・・・。

また、癌などの悪性疾患同様、アルツハイマー病と告知された患者さんは少なからずショックを受けるでしょうから、告知後の精神的なサポートについても周辺症状を悪化させないような配慮が必要となってきます。

医者の役目として、正確な診断を下しそれにあった薬を選択すると言うコトもあるかも知れませんが、高齢者の認知症で理解力が低下していたり感情のコントロールが抑制的に働きにくくなっているような場合、「あなたはアルツハイマー病です!」と宣言するより、「記憶力が少し悪くなっているようですが、どんどん悪化していかないようお薬の治療をやってみましょうね。同じ様な症状の方は沢山おられますが、この薬はよく効いていますよ。」みたいな説明にとどめ、患者さんが安心して治療でき、ご自宅でも心安らかに過ごせるような配慮の方に重点を置くことも大切ではないかと思っています。




vol.24
患者さんについて求めること

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この記事へのコメント
アルツハイマーの告知のブログ拝見いたしました。
私が考えている事と同じ内容だったので、読んで思わず嬉しくなりました。

先日、母が総合病院でアルツハイマーと診断され、不審に思った私は近くの脳神経内科に再度診ていただこうと、母を連れていきました。
しかし、母は他の病気も患っていて、歩くのがやっとです。
毎日、ベッドで辛くて泣いています。
そんな母に、もしアルツハイマーだとして、告知したらとどめをさすようで、母は耐えられないと思いました。
なので、病院の窓口で、もしアルツハイマーと診断されても母には今回は告知しないでいただきたいと伝えたら、看護婦さんから診察をお断りされました。告知しなと同意書も書けないし、一緒に治してもいけないとの理由でした。しかも、先生から直接お話しを伺うことはできませんでした。
かなり、ショックでした。地域の病院なのに、情けも愛情もない病院にはあきれました。
しかし、このブログを読んで少しすくわれました。
このような、お気持ちの先生だとよかったです。
Posted by たなかとしみ at 2013年09月17日 20:56
 
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