Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

甘くない糖分について

我々は、食事で体内にエネルギー源を取り入れ、生体活動に利用します。

糖分や蛋白質、脂質のカロリーはだいたい決まっていて、糖1gが4Kcal、蛋白質も1g4Kcal。脂質は1gが9Kcalと、糖質や蛋白質の2倍以上のカロリーを持っています。ちなみにアルコール1gは7Kcalで、糖質や蛋白質の2倍とは言いませんが、高いカロリーを持っています。

生体はこれらの栄養素をエネルギー源として利用しますが、脳に限っては利用出来るエネルギー源はブドウ糖オンリーです。脂肪も蛋白質もエネルギーとして利用することは出来ず、もっぱらブドウ糖のみをエネルギー源として利用します。

糖分というのは勿論甘いんですが、甘くない糖分ってのもあって、分けて考える必要があると思います。

糖分ってのは、一つ一つの糖の分子が沢山くっついて、長い鎖を作った状態になっています。糖の分子にはいろんな種類がありますが、例えばブドウ糖は6個の炭素原子が環状に手を繋いだ形になっているので六単糖と呼ばれますし、果糖などは炭素原子が5個の五炭糖です。スーパーで売っているグラニュー糖はブドウ糖と果糖がくっついた二糖類ですが、ご存じの通りブドウ糖もグラニュー糖も舐めてみれば甘く感じます。

デンプンはお米やパンの主成分ですが、糖分子が長い鎖状に繋がった構造をしているので、食べても甘く感じません。これが甘くない糖分です。昔理科の時間に習ったように、アミラーゼとかマルターゼ等の加水分解酵素で糖の鎖を切断し最終的に1個1個のブドウ糖分子にまで小さくして吸収する訳です。

甘い糖分は糖の鎖が非常に短いため、消化に時間がかからず一気に吸収されますので、糖を細胞内にトランスポートするために必要なインスリンというホルモンも一気に血中に放出されます。甘くない糖分をゆっくり咬んで消化して吸収すると、糖分の血中への移行もゆっくりですしインスリンの分泌も無理なくなだらかに立ち上がります。

基本的に糖分を全く摂取しないってコトは難しいんですが、糖分の摂取量が非常に少なかったとしても、蛋白質や脂肪分で大量にカロリーを摂取すれば、消費しきれなかった余分なカロリーは体脂肪となって蓄積し肥満傾向へと進みます。

では、もし糖分を一切摂取しなかった場合どうなるか?

ボディービルダーなどは、筋肉のデフィニッションを際だたせ薄皮一枚に仕上げるため、極端な糖質制限をすることがありますが、非常に危険なのであまりお勧め出来ません。最近では、2000年8月にマッスルK村氏と言うトップビルダーが突然死されましたが、彼のダイエット法が高蛋白無炭水化物ダイエットだったと言われています。トレーニング中に度々意識を失い救急車で搬送されていたようですが、糖質の点滴で意識が戻ると対応したドクターに「今何グラムブドウ糖を入れましたか?」と詰め寄るくらい徹底した糖質摂取制限を課していたらしいと聞いています。それに加えてハードなトレーニングで充分なエネルギー源が必要な状態であったため、無炭水化物ダイエットで脳がエネルギー不足に陥り意識障害を来したものと思いますが、最終的には心機能が急激に悪化したことが死に繋がったと言われています。

普通の人にはさすがにここまでストイックに糖質制限は出来ないと思いますが、「何事も過ぎたるは及ばざるがごとし」でバランスが大切だと思います。糖質の吸収速度に関しては、グリセミックインデックスと言う食品別の糖分の吸収速度の指標もあるにはあるのですが、実際に利用するにはいろいろ問題点もあるので、ごくごく単純に考えると甘い糖分は出来るだけ避け、甘くない糖分をゆっくり噛んで消化して吸収するようにすれば、余計なインスリンの分泌も抑えられるコトになると思います。




vol.24
患者さんについて求めること

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この記事へのコメント
なるほど…
毎度、勉強させて貰ってます!

もしかしたら…
ちょっと思い当たる節が…(汗)
気を付けます!
Posted by 島酒人 at 2009年12月30日 08:47
島酒人さん、あけましておめでとうございます。

年末年始、甘い糖分と、1g7Kcalのアルコールで、オーバーウエイトにならないように注意しましょうね、お互いに・・・。
Posted by samurasamura at 2010年01月01日 08:12
 いやー、ボディビルの話は凄まじいですねぇ、

人の「意識化」が身体をそこまで虐めぬくというか、

表現に徹するといいますか、

私の嗜好はボディビルに無かったのですが、

ボディビルに瞠目しました。

「意識化」は時に過ぎると、戦争まで起こすのですが、

アートにおいても、善悪を超えたところに在って、

しばしば誤謬を感じる時があるものですが、

少なくとも善を選択しているつもりの考えでいきたいものです。

とまれ、そのような判断の内に無いものが、

アートなのかもしれませんが、、、、。

自らの身体くらい、繊細に感知するくらいで無いと

イケナイのでしょうが、モダニズムを生きて来た世代は、

お薬の魔法(?)にとりつかれているかも、、、、。

         カワウソ
Posted by ネコとウソネコとウソ at 2010年01月01日 20:42
カワウソさん、コメントありがとうございます。

自分の身体とのは重要だと思いますし、自分の身体を繊細に感知しようとするアプローチも重要だと思います。

朝起きて鏡で自分の身体を見てみますと、日によって見え方がまるで違います。若い頃はそんなこと無かったのに・・・。肌に張りがあって引き締まって見える日もあれば、でろ〜んとたるんで見える日もあって、その時その時で体調も違いますので鏡を見るだけで体調のレベルがどれくらいか推測出来るようになっています。

一部の方からは、ナルシーと思われているようですが・・・。
Posted by samurasamura at 2010年01月02日 00:25
 
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