Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

慢性硬膜下血腫の治療

2014年が明けあっと言う間に1ヶ月が経過しようとしておりますが、遅ればせながら明けましておめでとうございます。年末年始は皆様いかがお過ごしだったでしょうか?

わたくし30年以上前から紅白は見ておりませんし、生まれてこの方初詣にも行ったこと無いという、年末年始の風物詩には縁のない人間であります。毎年新年に向けての英気を養うため(?)、「どうせすぐ散らかるじゃ〜ん」的諦観の極致から大掃除などと言う余計なことは一切せず寝て過ごすが常なんですが、今回は自宅のリフォームのため家財道具一式を移動させる必要があり、本日先ほどまでブログ書くヒマもないくらいてんてこ舞いしておりました。

箸より重たいモノは持たない(?)と決めていたのですが、毎日仕事終わってから重たい段ボール箱を移動しまくりの日々。おかげで、腰と言わず足と言わず身体中が痛くて痛くてっ(涙)。

それにしても、まぁこんな沢山の荷物が有ったなんてビックリです。昔の写真から懐かしい手紙や本その他、出てくるは出てくるは(驚)!そして一方では、それを断捨離しまくる人、約1名。

慢性硬膜下血腫の治療

断捨離のすすめまで断捨離されちゃったりして・・・・・。
(川畑先生ごめんなさい)


それはいいとして、高齢の方は頭をぶつけた直後に特に問題無くても、2〜3ヶ月経って脳と骨の間に血が溜まって脳を圧迫し、頭痛やろれつ難、痺れ、麻痺、認知機能低下などの症状が出ることがあります。これを慢性硬膜下血腫と言いますが、詳しくは拙書慢性硬膜下血腫をご参照下さい。

なんでこんなのが出来るかというと、脳の表面にジワジワと出血が続くと3週間ほどで表面に被膜が形成されてきます。

慢性硬膜下血腫の治療

脳の表面は脳脊髄液という水の成分で覆われているため、その一部に皮膜(カプセル)で覆われた血液成分が出現するわけです。つまり・・・・・、皮膜の外は水、皮膜の中は血液。皮膜の外は浸透圧が低く、皮膜の中は浸透圧が高い状態になっていますので、浸透圧を平衡にしようと被膜の外から中に水が入ってきます。

慢性硬膜下血腫の治療
水が入ってくるとカプセル内の浸透圧は下がってきますがカプセル内の容量が増えてきますので、カプセルの端っこの部分がベリッと避けて血腫の中に再出血します。

慢性硬膜下血腫の治療



せっかく浸透圧が平衡になろうとしてたところに再出血するため、更に浸透圧が高くなり結果中に髄液が流入し血腫が増大します。慢性硬膜下血腫の治療

てなコトを繰り返しているうちに、血腫が増大し脳を圧迫して頭痛や手の痺れ、麻痺などの症状が出てくるわけなんです(たぶん)。

血腫が大過ぎる場合は頭蓋骨に小さな穴を開けて中の血腫を洗浄してあげると、浸透圧差が是正され血腫の増大はなくなり改善に向かうわけです!

血腫が手術するほどには大きくない場合、もしくは高齢などの理由で出来るだけ手術しないで治療したい場合、止血剤を使えば良い訳なんです(100%効く訳じゃありませんが・・・)。

写真は90歳近いご高齢の患者さんで、頭痛が続くため頭部MRIで検査したところ両側に慢性硬膜下血腫が認められました。脳と骨の間に白く見えるのが血腫です。

慢性硬膜下血腫の治療

ご高齢なので、出来るだけ手術しない治療法と言うコトで止血剤の治療を開始しました。1ヶ月後のMRIでは右側の血腫は若干縮小していますが、左側は逆にちょっと大きくなっているように見えます。

慢性硬膜下血腫の治療

2ヶ月後、右側の血腫は更に縮小していますが、左側は先月より更に大きくなっているような・・・。

慢性硬膜下血腫の治療

手術をお勧めするかどうか迷いますが、めげずに止血剤の内服を継続しますと、3ヶ月目には左側の血腫の増大が止まって、何かいい感じ!

慢性硬膜下血腫の治療

4ヶ月目には左側の血腫に急激な縮小が認められ、

慢性硬膜下血腫の治療

5ヶ月目にはほぼ血腫も消失しました。

慢性硬膜下血腫の治療

結果として手術せずに済みました(粘り勝ちっ)!

いつもこんなにうまく行くとは限りませんので、頭ぶつけたご高齢の方は2〜3ヶ月は頭痛、ろれつ難、痺れ、脱力、物忘れなどの症状に気を付けて、もし何か変な症状がある場合はさむら脳神経クリニックで検査して貰いましょう!!!





vol.24
患者さんについて求めること

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この記事へのコメント
自分が断捨離されないよう、くれぐれもおとなしく従っていてください!

分かっているとは思うけど・・・ヾ(´Д`;●) ォィォィ
Posted by ichigeki at 2014年01月27日 16:03
ichigekiさん、いつも鋭い突っ込みありがとうございます!

日々断舎離の恐怖に怯えてます・・・・・。
Posted by samurasamura at 2014年01月27日 23:05
書き込み始めてで読みずらくてすみません。先日脳波の検査で左右さがあり、自分できずかないほどのてんかんがあると言われました。脳質の大きさに違いがあり、出産のときに産道で圧迫されたのが原因で、特に治療の必要もなく、二年に一度の脳波とмRIをとるように言われました。今回のмRIは脳梗塞二箇所あるが年齢相応」で問題ないとのことでした。心配することは何もないといわれて安心して帰ってきたのですが、今頃どうも気になってしまって。時々座って書き物や計算をしていて、、眠かったわけではないのに気がつくとそのまま動きが止まっていたということがあります。ただ眠いのかと思っていたのですが、もしかしてこれがてんかんなのかと。普段使い慣れたはずの言葉が出なかったり、鼻とみけんのあたりが痺れてめまいがしたり、手足の振るえなどがあり、ほかにも動悸息切れ、のどもとの圧迫感などは心電図心臓えこー、呼吸器も問題なしでした。すみません、だらだらと書いてしまいましたが、今後なにか気をつけることなどありますか。診ていいただいた先生もとてもいい先生なので安心はしているのですが、聞きそびれたことが」木になってまして、ちょうど先生のブログをみつけたので書かせていただきました。ただこれがちゃんと届くのかものすごくものすごく不安であります。
Posted by 吉川まゆみ at 2015年05月19日 10:03
以前の記事への今頃の質問で恐縮です。58才男性。内科の医者ですが、自分が慢性硬膜下血腫になってしまいました。左側は手術が無事に終わりましたが右側を経過観察しています。脳外科の主治医は投薬の効果には懐疑的で、ゴレイサンだけをもらっています。自己処方でアドなとトランサミンを内服していますが、先生がお使いになった止血剤は何でしょうか。宜しくお願い致します。
Posted by ポロ男 at 2017年04月26日 23:54
ポロ男様

返信遅くなって失礼いたしました。
忙しさにかまけてブログをずっと放置していて、コメントに気がつきませんでした・・・。

私がいつも使っているのは、アドナ・トランサミンです。充分効きますが少し時間もかかりますので、画像で血腫の状態を確認しながら終了時期を決めております。五苓散と併用もいいと思います!
Posted by samurasamura at 2017年06月08日 22:39
 
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