Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

聴神経鞘腫のガンマナイフ治療

と言うコトで、聴神経鞘腫にガンマナイフ治療を行うと、腫瘍が一時的に大きくなります。

聴神経鞘腫のガンマナイフ治療

写真は聴神経鞘腫のガンマナイフ治療後の経過を見ているのですが、真ん中の白いのが腫瘍です。半年〜1年くらいの間に一度大きくなり、その後徐々に小さくなってくるパターンが6割前後に見られます。6ヶ月目の写真で腫瘍の中の黒い部分が広がっていますが、14ヶ月目以降は黒い部分は縮小しています。ガンマナイフではガンマ線をあてますが、これは紫外線を当てて日焼けさせるのと同じコトだと考えて頂ければいいと思います。日焼けでは、皮膚が紫外線で炎症を起こし赤くなって腫れてヒリヒリ痛みますが、ガンマ線を照射された腫瘍も内部に炎症の反応が生じ、赤くなって(いるかどうかは分かりませんが・・・)腫れるのです。腫瘍の中が黒くなっているのは、炎症が強く起きている部分を見ているものと思われます。早い人では、治療後3ヶ月目で大きくなる傾向が見られますので、治療後最初の1年は3ヶ月おきに経過をみていくようにしています。

一旦腫瘍が大きくなっても、半年〜1年くらいすると縮小に転じますが、2年くらいかかる場合もありますので、時間がかかってもあまり心配は要りません。ただ、どれくらい大きくなるかは人それぞれです。これも日焼けと同じで、同じ時間日に当たってもちっとも変化のない シマー ネイティブアイランダーもいれば、真っ赤になってしまうナイチャーもいるわけです(シマナイチャーはこの中間くらい?)。中には激しい皮膚炎を起こし、水疱形成まで起こしてしまうこともあり、救急室の担当の外科のドクターに、「沖縄の海をなめた」とカルテに書かれるコトになってしまいます。人それぞれ、放射線に対する反応性が違うため、ガンマナイフで照射したあとの反応についても予測がつかないのです。治療後どれくらい大きくなるか予測がつかないわけですから、長径3cm以上で既に脳幹や小脳が圧迫されているような腫瘍に対するガンマナイフ治療は危険なのです。

腫瘍サイズが大きくガンマナイフ単独での治療が危険と考えられる場合は、まず開頭術を行い腫瘍サイズを減じておき、その後にガンマナイフで治療します。ふたでまになって負担が大きくなるような気もしますが、手術でも無理をせずガンマナイフ治療後も危険が少なくなりますので、最も安全な治療選択肢と言えるのではないでしょうか。勿論3cm以内の小さな腫瘍であるなら、ガンマナイフ単独で治療可能です。



vol.24
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