Dr.さむらのハイパー気まぐれ日記

さむら脳神経クリニックから脳の健康について書いていくつもりですが・・・。

聴神経鞘腫と三叉神経痛

最近のマイブームは老婆かもしれません。先日88歳の女性の患者さん(つまり老婆)のご家族がみえて、「おばーがオヤジギャグを言う」とおっしゃるのです。「ウンチェー食べたらウンチェー(ウンチ)が出る」とか言ってるらしいのですが、はたしてこれ(88歳のオバーのダジャレ)をオヤジギャグと言っていいものなのかどうか、それを考えるとわたくし夜も眠れないのでございます・・・。

それは全くど〜でもいい話なので横に置いといて、聴神経鞘腫は何故か上方(頭頂側)へ向かって大きくなっていきます。蝸牛神経と前庭神経の症状が出ることは先日もご説明しましたが、不思議なコトに聴神経に並走する顔面神経の症状はほとんど起こりません。顔面神経は顔面の筋肉(表情筋)を支配する運動神経だから、感覚神経より強いのでしょうか・・・???

何故そんなことを言うかと言いますと、聴神経・顔面神経の数ミリ上には三叉神経と言う顔面の知覚を司る神経が走っています。三叉神経は顎を動かす、つまり咀嚼運動に関係する側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋、咬筋という4つの筋肉を動かす運動枝も含まれていますが、メインの機能は顔面の触った感じや痛い感じなどの知覚を脳に伝える働きです。

聴神経鞘腫が成長すると、上方へ伸展し三叉神経を圧迫するようになってきます。そうすると、顔面麻痺などの顔面神経の症状が出る前に、三叉神経の症状が出てきます。腫瘍と同側の顔面のしびれや痛みです。つまり、三叉神経痛です。三叉神経痛の痛みは、電気の走るような、焼け火箸を突っ込まれるような激痛で、痛みの持続時間はほんの数秒程度ですが、人間の痛みの中では最強の部類に入るのではないかと思う程のトンでもない痛みです。

単に三叉神経痛と思っていたら実は聴神経鞘腫が隠れていたってコトもありますので、三叉神経痛と診断されているけれどもまだ頭のMRIを撮影したことの無い方、どうぞお気軽にご相談下さい!




vol.24
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