脳振盪かと思ったら
頭部外傷後6時間経過を観察して特に症状がなければ、後々状態が悪化する危険性はほとんどありませんが、もし脳振盪を起こしていた場合は別問題です。脳振盪は外傷により脳神経が障害を受けている状態ですので、何らかの神経症状が発生しています。
脳振盪の症状を分かりやすくまとめますと、
1. うつろな眼差し、ボーッとした顔
2. 質問に答えるのが遅い、指示に従うのが遅い
3. 気が散る、最後までやり遂げられない
4. 変な方向に歩く、時間・日付・場所がわからない
5. 不明瞭な言語、つじつまが合わない発言
6. よろよろ歩く、まっすぐ歩けない
7. 取り乱す、理由もないのに泣く
8. 同じコトを何度も尋ねる
などが挙げられます。頭部外傷後、意識混濁や意識消失、健忘(その時の記憶が飛んで思い出せない状態)、外傷後のけいれん発作などが認められる場合は、脳振盪まで進行している可能性が高いと考えなければなりません。
一般的に脳振盪の状態であれば、頭部MRIで検査をしても明らかな異常は見られませんが、脳の損傷が強い場合頭部MRIで脳挫傷や硬膜下血腫の所見が認められることがあり、より重傷の頭部外傷として治療しなければならなくなってきますので、脳振盪と判断される場合は頭部MRIを撮影し脳挫傷まで進展していないかどうか確認が必要です。
頭部外傷7時間後に撮影された頭部MRIの画像です。
受傷後6時間以上経過しているのですが、受傷時意識消失があり6時間経過してもフラフラが治まらず転倒しないように支えなければならない状態でした。
左側頭葉に脳挫傷が認められますが、これは頭部CTでは見えませんでした。
左側で、大脳と頭蓋骨の間にうっすらと出血も認められ(硬膜下血腫)、このまま帰宅させるのは非常に危険な状態と判断されます。その時点では大丈夫でも、時間が経ってから脳内の出血が大きくなり、生命を脅かすような状態に陥りかねないのです。
頭部外傷で脳振盪が疑われる場合は言うに及ばず、何かおかしいと思った時には脳神経外科を受診するようにして下さい!
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