頚部脊柱管狭窄症とは?原因・症状から日常生活で気をつけるべき姿勢まで徹底解説
頚部脊柱管狭窄症は、首の脊柱管が狭くなり、脊髄や神経が圧迫されることで、痛みやしびれなどが生じる疾患です。加齢による変化や首に負担をかける動作・姿勢が原因となることが多く、特に中高年に多く見られます。この記事では、頚部脊柱管狭窄症の原因や症状、治療法に加え、日常生活で注意すべき姿勢について解説します。
頚部脊柱管狭窄症の原因
頚部脊柱管狭窄症は、以下のような要因が原因で発症します。
加齢による骨や靭帯の変化
加齢とともに、頚椎やその周りの骨・靭帯に変化が起こりやすくなります。特に脊柱管の後方にある黄色靭帯が肥厚したり、椎体が変形したりすると、脊柱管内が狭くなり、脊髄や神経が圧迫されやすくなります。
椎間板の変性
頚椎の椎間板が劣化・変性して厚みが減ると、椎体が沈み込んで脊柱管が狭くなります。これが原因で神経が圧迫され、痛みやしびれが生じることがあります。
頚椎ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアも、頚部脊柱管狭窄症の原因の一つです。椎間板が脊柱管内に突出し、脊髄や神経根を圧迫します。長時間のスマホやパソコンの使用による姿勢の悪化が頚椎ヘルニアの要因となり、最終的に頚部脊柱管狭窄症へとつながることもあります。
頚部脊柱管狭窄症の症状
頚部脊柱管狭窄症の症状は、脊髄や神経根の圧迫により多岐にわたります。初期には軽度のしびれや違和感で始まることが多く、徐々に症状が進行します。代表的な症状は次の通りです。
手や腕のしびれや痛み
特に手指や前腕、肩周りにかけてのしびれや痛みが多く見られます。頚椎の神経根が圧迫されることで、手指の動きがぎこちなくなったり、細かい作業が難しくなることもあります。
筋力低下
頚部脊柱管狭窄症が進行すると、手や腕の筋力低下が生じ、日常的な動作に支障をきたすことがあります。箸やペンを持つ動作が難しくなったり、ボタンをかけるなどの細かい動作がしにくくなることがあります。
歩行障害
症状が進むと、下半身の筋力も影響を受けることがあります。特に歩行時にふらつきやバランスを崩しやすくなり、歩幅が狭くなるなどの歩行障害が見られることがあります。
その他の神経症状
首から肩、背中の痛みや張り感、頭痛なども頚部脊柱管狭窄症の一部の症状です。
挟撃機序とは?頚部脊柱管狭窄症を悪化させる姿勢
**挟撃機序(きょうげききじょ)**とは、首を反らす姿勢で脊髄が前後から挟み込まれるように圧迫される状態を指します。これは、首を後ろに反らしたときに、前方の後縦靭帯と後方の黄色靭帯が脊髄や神経を挟み込んでしまうことが原因で、頚部脊柱管狭窄症の症状を悪化させる要因になります。
挟撃機序を悪化させやすい姿勢
歯医者の診察台での姿勢
歯科での治療時に後屈姿勢が続くと、首が反りすぎるため、脊髄が前後から圧迫されやすくなります。
美容院のシャンプー台での姿勢
美容院のシャンプー台でも首を後ろに反らす姿勢が続き、頚部に負担がかかります。
長時間のスマホやパソコン作業
パソコンやスマホを使う際に首が前に突き出る「ストレートネック」の状態が続くと、首が反る形になり、頚椎の下部で挟撃機序が働きやすくなります。
低すぎる枕や柔らかい低反発枕
枕が低すぎたり、柔らかい枕で頭が沈み込むと、寝ている間に首が反るため、頚部に負担がかかります。適切な枕の高さで、少し顎を引くポジションを保つことが推奨されます。
頚部脊柱管狭窄症の診断
頚部脊柱管狭窄症の診断には、主にMRIやCTスキャンが用いられます。これにより、脊柱管が狭くなっている部位や、脊髄や神経根がどの程度圧迫されているかを確認します。診断にあたっては、以下の方法が用いられます。
身体診察
首の動きや痛みの有無、神経の反応を確認します。また、歩行の状態や筋力、手足の感覚異常も評価されます。
画像診断
MRIやCTスキャンで、脊柱管の狭窄部分や神経の圧迫状態を確認します。椎間板や靭帯、骨の状態も把握できるため、症状の原因が特定しやすくなります。
頚部脊柱管狭窄症の治療法
頚部脊柱管狭窄症の治療は、症状の程度や生活への影響に応じて選択されます。
薬物療法
痛みやしびれの症状を緩和するために、鎮痛薬や神経障害性の痛みを和らげる薬が処方されることがあります。
理学療法・リハビリ
首や肩周りの筋力を維持し、血行を促進するためにリハビリが行われます。首の負担を減らし、症状の改善を目指します。
神経ブロック注射
痛みやしびれが強い場合、神経ブロック注射で一時的に痛みを抑え、日常生活が送りやすいようにします。
手術療法
症状が重度で日常生活に支障がある場合や、薬物療法やリハビリで改善が見られない場合には、手術が考慮されます。手術によって脊髄や神経の圧迫を取り除くことで症状の改善が期待されます。
日常生活で気をつけるポイント
頚部脊柱管狭窄症を悪化させないためには、日常生活での姿勢や習慣を見直すことが重要です。
パソコンやスマホの使い方
画面を目線の高さに合わせて、前屈みにならないようにします。椅子の高さや姿勢を調整し、首が自然なカーブを保てるようにしましょう。
寝るときの枕の高さ
少し顎を引いた状態で首がまっすぐに保てる高さの枕を選ぶと、寝ている間の負担が軽減されます。柔らかすぎる低反発枕は頭が沈みやすいため、硬めで高さが適切なものが推奨されます。
長時間の同じ姿勢を避ける
パソコンやスマホ作業が続く場合、1時間に1度は休憩をとり、首を軽く動かしたり、肩周りをストレッチするようにしましょう。血流が促進され、筋肉の緊張が緩和されます。
まとめ
頚部脊柱管狭窄症は、首の脊柱管が狭くなることで発生する症状です。加齢や生活習慣による姿勢の影響で進行しやすいため、早期発見と適切な治療が大切です。また、挟撃機序に注意し、首の負担を減らす姿勢を心がけることで、日常生活での悪化を防げます。
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