脳の中にサナダムシ
と言うコトで寄生虫のお話ですが、寄生虫には決まった宿主（動物）がいます。つまり寄生虫が寄生する動物のことですが、例えばエキノコッカスならキタキツネとか、アニサキスならクジラとかイルカとか・・・。
ところが、最終的には別の動物に寄生するはずの寄生虫が、なんかの拍子に本来は宿主ではない人間の身体に入り込んだ場合に、ちょっと困ったことが起きることがあります。エキノコッカスの場合は虫卵が人間の体内に入り込むと、放出された幼虫が腸壁を食い破って血管またはリンパ管を通って肝臓に入り込み、5年10年かけて徐々に肝臓を傷害してしまいます。アニサキスは回虫の一種で、クジラやイルカに寄生する前にサバやイワシなどの魚介類に幼虫が寄生します。最終的にクジラやイルカがこれらの中間宿主を食べることで感染が完成するのですが、人間が間違ってアニサキスに感染した魚を食べると、お腹の中でアニサキスの幼虫が腸管を食い破ろうと腸壁に食いつくので、激しい腹痛の症状を来します。
8耐さんが経験された紐状の寄生虫は、何年もの間宿主の体内にひっそりと潜んでおり、宿主から栄養をもらって生きていたのでしょう。この虫、おそらくはサナダムシの一種だと思いますが、これには有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫などの種類があり、この中で人体に入ってちょっと困った症状を引き起こすのは有鉤条虫です。
有鉤条虫は学名をTaenia soliumといいますが、テニアってのはラテン語で紐って意味で文字通り紐状の形態をしており、中間宿主はブタで終宿主は人間です。腸に寄生する寄生虫ですが、何故か脳外科医が治療する場合がある寄生虫なんです。ブタの内臓や肉に有鉤条虫の幼虫が寄生している場合、有鉤条虫はそれを食べた人間の腸内で成虫となり寄生します。成虫は腸内にいるだけで、宿主からちょっとずつ栄養を取る以外特に悪さをすると言うわけではありませんが、バンバン卵を産んでそれが便に混じって日々排泄されるような状態となっています。
問題はこの卵。これが誤って口から入ってしまった場合、どう言う訳か胃でふ化します。pHの違いが関係するのか、卵は胃で以外の小腸や大腸など他の消化管ではふ化しないのです。腸内に寄生している成虫がいくら卵を産んでも、これが腸内でふ化することは無いのですが、何かのきっかけで卵が腸から胃へ逆流した場合、ふ化します。ふ化して卵から出てきた幼虫は、胃壁を食い破って血中へ入り込み流れ流れて最後に行き着く先が脳なんです（恐ろしい）。そしてこれが頭痛やけいれん発作の原因となることがあり、脳外科医が治療するコトになるって話です。ですから、豚肉に寄生する幼虫を食べてしまうより、虫卵を飲み込んでしまう方がはるかに危険なのです！
と言うコトで、皆様豚肉を生で食うような無謀な真似はやめましょう！医療従事者の皆様は、癌などの悪性疾患が無いにもかかわらず妙に血色が悪かったり痩せていたりするようなサナダムシが感染している可能性のある方の排泄物(糞便)を処理する際は、排泄物が口から入らないように気を付けましょう。また、oral-anal sexual contactによる感染もありますので、どんなに綺麗だと思っても相手の○○周辺を舐め回したりするのはやめましょう！
最近わけもなく頭痛がしたり、妙な神経症状でお悩みの方、有鉤条虫の幼虫が脳内に迷入しているかもしれません。頭部の精査を行いますので、さむら脳神経クリニックへダッシュして下さい！
ところが、最終的には別の動物に寄生するはずの寄生虫が、なんかの拍子に本来は宿主ではない人間の身体に入り込んだ場合に、ちょっと困ったことが起きることがあります。エキノコッカスの場合は虫卵が人間の体内に入り込むと、放出された幼虫が腸壁を食い破って血管またはリンパ管を通って肝臓に入り込み、5年10年かけて徐々に肝臓を傷害してしまいます。アニサキスは回虫の一種で、クジラやイルカに寄生する前にサバやイワシなどの魚介類に幼虫が寄生します。最終的にクジラやイルカがこれらの中間宿主を食べることで感染が完成するのですが、人間が間違ってアニサキスに感染した魚を食べると、お腹の中でアニサキスの幼虫が腸管を食い破ろうと腸壁に食いつくので、激しい腹痛の症状を来します。
8耐さんが経験された紐状の寄生虫は、何年もの間宿主の体内にひっそりと潜んでおり、宿主から栄養をもらって生きていたのでしょう。この虫、おそらくはサナダムシの一種だと思いますが、これには有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫などの種類があり、この中で人体に入ってちょっと困った症状を引き起こすのは有鉤条虫です。
有鉤条虫は学名をTaenia soliumといいますが、テニアってのはラテン語で紐って意味で文字通り紐状の形態をしており、中間宿主はブタで終宿主は人間です。腸に寄生する寄生虫ですが、何故か脳外科医が治療する場合がある寄生虫なんです。ブタの内臓や肉に有鉤条虫の幼虫が寄生している場合、有鉤条虫はそれを食べた人間の腸内で成虫となり寄生します。成虫は腸内にいるだけで、宿主からちょっとずつ栄養を取る以外特に悪さをすると言うわけではありませんが、バンバン卵を産んでそれが便に混じって日々排泄されるような状態となっています。
問題はこの卵。これが誤って口から入ってしまった場合、どう言う訳か胃でふ化します。pHの違いが関係するのか、卵は胃で以外の小腸や大腸など他の消化管ではふ化しないのです。腸内に寄生している成虫がいくら卵を産んでも、これが腸内でふ化することは無いのですが、何かのきっかけで卵が腸から胃へ逆流した場合、ふ化します。ふ化して卵から出てきた幼虫は、胃壁を食い破って血中へ入り込み流れ流れて最後に行き着く先が脳なんです（恐ろしい）。そしてこれが頭痛やけいれん発作の原因となることがあり、脳外科医が治療するコトになるって話です。ですから、豚肉に寄生する幼虫を食べてしまうより、虫卵を飲み込んでしまう方がはるかに危険なのです！
と言うコトで、皆様豚肉を生で食うような無謀な真似はやめましょう！医療従事者の皆様は、癌などの悪性疾患が無いにもかかわらず妙に血色が悪かったり痩せていたりするようなサナダムシが感染している可能性のある方の排泄物(糞便)を処理する際は、排泄物が口から入らないように気を付けましょう。また、oral-anal sexual contactによる感染もありますので、どんなに綺麗だと思っても相手の○○周辺を舐め回したりするのはやめましょう！
最近わけもなく頭痛がしたり、妙な神経症状でお悩みの方、有鉤条虫の幼虫が脳内に迷入しているかもしれません。頭部の精査を行いますので、さむら脳神経クリニックへダッシュして下さい！
vol.24
患者さんについて求めること
この記事へのコメント
怖っ！！！
遠慮しない虫ですねー。
大事な脳にまで寄生するなんて。
胃を食い破ってなぜ上に向かう？
せめてふくらはぎとかに寄生だったら。
脳には糖分が常に送り込まれるから虫には幸せな場所なんですかね。
とてもためになりました、ありがとうございます。
遠慮しない虫ですねー。
大事な脳にまで寄生するなんて。
胃を食い破ってなぜ上に向かう？
せめてふくらはぎとかに寄生だったら。
脳には糖分が常に送り込まれるから虫には幸せな場所なんですかね。
とてもためになりました、ありがとうございます。
Posted by 8耐 at 2010年07月12日 00:11
8耐さん、コメントありがとうございます。
どうも虫にはそれぞれ好きな場所があるみたいで、エキノコッカスは肝臓なんですが、有鉤条虫は脳が大好きみたいです。おっしゃるように、栄養が豊富な臓器が好きなのかもしれませんね。
ただ、癌の末期など免疫が低下している時には、脳と言わず肝臓と言わず全身の臓器に散らばることがあります。その場合は、皮下結節から寄生虫が出てきたり・・・。
恐いですねぇ。
どうも虫にはそれぞれ好きな場所があるみたいで、エキノコッカスは肝臓なんですが、有鉤条虫は脳が大好きみたいです。おっしゃるように、栄養が豊富な臓器が好きなのかもしれませんね。
ただ、癌の末期など免疫が低下している時には、脳と言わず肝臓と言わず全身の臓器に散らばることがあります。その場合は、皮下結節から寄生虫が出てきたり・・・。
恐いですねぇ。
Posted by samura
at 2010年07月12日 19:09
at 2010年07月12日 19:09